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留袖にまつわる母と娘の愛情のこもった体験談をご紹介する留袖レンタル物語をご紹介いたします

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私の留袖レンタル物語

第28回|夫とともに大事に育てた、1人息子の成長の末に見えて来た虹景色

桂賀 典子(仮名)さん【50歳・病院家政婦・大阪府】

夫が自営業になり・・・

 大阪に住む50歳の病院勤務の家政婦です。
 今はヘルパー2級の取得に励んでいます。今後の青写真としては、施設でのヘルパー数年勤務の後、最終的にはケアマネージャーの資格を取るつもりです。ケアマネとしてテキパキ働く自分の姿を一人で想像しては、思わずニヤけている調子乗りなオバサンです。
 今でこそこんな明るいオバンやってますが、これには訳があるんです。
 かつて専業主婦だったころからいつも私の心の支えであり、これ以上真面目に働くオトコはいない!と断言できるくらいの夫が突然、
「前から考えてたんだけど、そろそろサラリーマンをやめてパン屋になる!こんな俺についてきてくれるか?」なんて、まるで今夜のメニューを聞くようなくらいの調子でいとも簡単に、しれっと訊いてきたのです。しかしあまりのことに、私はただアホみたいに口をパクパクしてるだけで、ろくな返事もできませんでした。
 夫は高校3年間、大学4年間の計7年間同じパン屋さんでバイトをこなし続けたそうです。そのひたむきな真面目さを買われ、みっちり仕込んでもらったと以前、夫の口から聞いたことがあります。さらに大学卒業の年には「なあ、就職活動やめや! うちの店長にならへんか?」と本部からやってきた幹部にスカウトされたくらいなんです。
 それほどの器用さと腕前を持っていたということですね。
 もともと工場勤務で、「冷たい機械を毎日扱ってると、パンの柔らかさが恋しくなる」と休みの日にパン作りをしては、焼きたてのパンを私と息子にふるまってくれました。
 しかし、それとこれとは話が別です。息子の教育費などもピークに達している今、脱サラするなんて、正気の沙汰とはとても思えません。そう思ってだまっていたのをOKサインと都合よく解釈し、夫は本当にパン屋さんになってしまいました。当時、既に自分の仕事を持ち、誇りを持って働いていた私に、手伝いの要求がなかったのが救いでしたね。

夫の転職から見えた新たな現実

 まず、突き付けられた現実はお金の問題でした。夫は貯金と退職金でパン屋をオープンにこぎつけました。しかし、新しい店は地域に根ざした方たちにそんなに簡単に受け入れてはもらえませんでした。
 髪の毛を金色に染め、変形学生服を着て夜な夜な仲間とつるんで街を徘徊していた高校生の息子ですが、額を寄せて資金繰りを相談している私達を見ていて思ったのでしょうか。
「今の工業高校をちゃんと卒業して、手に職をつけて、自動車工場で働きたい」
と、突然言い出し、真面目君に見事大変身を遂げたのです。
 それを機に、不思議と急に夫のパン屋さんの経営も軌道に乗り出したんですよ。
 そこからはもう、毎日がそれぞれの場所で忙しく、アッと言う間に過ぎていきました。
 そうして年月は過ぎ、愛息も無事に自動車工場へ就職して、毎日機械油まみれになって頑張っているようでした。その様子は、機械油で汚れた洗濯物を見れば一目瞭然でした。

「オトン、オカン、俺、養子に行きたいんやけど」

 自他ともに認める温厚な私も、このセリフを息子の口から聞いた時には吠えましたね。
 バウバウ吠えたてている私を尻目に、息子は畳み掛けるように、
「結婚式にはオトン、オカンも出てや。着物、留袖くらいオカン持ってるやろ?」
 もう私の反対する余地はなさそうな雰囲気でした。一人息子とお嫁さんと同居したかった・・・私のささやかな夢は音を立てて崩れていきました。
 仕事で忙しく、虫干しもしてなかった黒留袖。ずっと開けてさえいない着物ダンスから留袖を出してみると・・・案の定、カビが生えてました。この時すでに親しくなっていた、お嫁さんになる香織ちゃん(仮名)が、
「お母さん、留袖レンタルを利用しましょうよ。京都に和匠ってところがあって、宅配で簡単に黒留袖が利用できるんですよ。私たちの貸衣装も和匠でお世話になる予定なんです」
 もう既に立場が逆転してますよね。さすが、我が息子が選んだお嫁さんです。
 こうして着々と結婚式の準備と結婚式は進んでいきました。
 モーニングでキメた息子と貸衣装のドレスをまとった香織ちゃん(仮名)、最高でした。
 しかも嬉しいことに、息子たちは結婚式の後に、私達のマンションの向かいのマンションに住まいを構えてくれたのです。
 そして私はオバンから「おバアちゃん」に数か月後、昇進する予定です。
 全く、大出世とはこういうことを言うのだな、と心が躍るばかりです。

留袖レンタル物語の目次(全47回)